名刺交換や書類の受け渡しなどの際、意外と目立つ指の爪。とくに、女性は男性の手や指先をチェックしている人も多く、現代のできるビジネスパーソンにとってきれいな爪や指先をキープするのは必須といってもいいかもしれない。
爪がきれいであれば、それだけで印象がグッと良くなるため、清潔感のある男としては押さえておきたいポイントだ。といっても、女性のようにきらびやかなジェルネイルやマニキュアを施す必要はなく、あくまでも清潔さが感じられるよう、甘皮やささくれを処理したり、爪表面の凹凸を整えたりするだけでよいのである。
しかし、まだまだ男性にとってネイルケアは一般的にはないため、どんな道具を揃え、どうやって手入れしてよいかわからない人も多いだろう。ここでは、男性向けのネイルケアについて、必要な道具や使い方について解説する。さらに、自分で手入れするより手軽で効果的なメンズ向けネイルサロンの選び方についても紹介する。
女性は男性の手元を実によく見ており、爪が長かったり、指と爪の間が黒くなっていたり汚れがたまっていたりと、清潔感のない指先にはマイナスの印象を持つ人が多い。汚い手で自分や大事なものに触れないでほしいなど、辛辣な意見もある。
逆に、手入れの行き届いたきれいな指先の男性には好感度が高く、優しくてマメな人に違いないなどの印象を持つようだ。このように男性の手元は意外とみられている。
男性にとってもネイルケアは重要であることがお分かりいただけただろうか。次項では男性向けのネイルケアについて、必要な道具について紹介していくのでチェックしてみてほしい。
自分でネイルケアを行うには、まず必要な道具を揃えておきたい。必要な道具には下記のようなものがある。
それぞれの役割や使い方、価格相場などを紹介していくので参考にしてほしい。
爪やすり（ネイルファイル）は、爪の長さを短く調整したり、形を整えたりするアイテム。爪切りのように、切る際の圧力によって、爪が割れたり二枚爪になったりせず、断面が滑らかな状態に仕上がる。
爪やすり（ネイルファイル）のざらざらした面（研磨面）に爪を当てて、動かすことで長さや形を調整していく。
価格は幅があるが、安いものだと400円程度、爪表面の磨きにも使用でき、長く使用できるタイプのもので1,500円程度。大きさや素材によって異なる。通常の紙やすりなどと同じく、繰り返し使用するうちに研磨面が磨り減ってくるので摩耗したら買い替える。
プッシャーは、爪の甘皮を押し上げて、除去しやすくするためのアイテム。甘皮を上手に処理すると爪の面積が広がり、爪や指先がきれいに見えるというメリットがある。プッシャーの先端を爪の表面に押し当てて、甘皮を優しく浮かせるようにして使用する。
価格はタイプによって異なる。金属製のヘラのようなタイプや、先端がマジックのペン先のような形状で、セラミックなどの硬質素材となっているタイプでは1本400～2,000円程度。これらのタイプは繰り返し使用できる。
木製のスティック状で割りばしのようなタイプでは100本で700～800円程度。このタイプは処理する際に爪に当てる先端部分に鋭さがなくなってきたり、汚れたりした場合は交換する。
キューティクルニッパーは、プッシャーで押し上げた甘皮をカットするためのアイテム。ささくれのカットにも使用できる。形状は似ているが、爪切り用のニッパーとは異なる。
甘皮を正しく処理しておくと、ささくれができにくくなり爪の乾燥予防にも効果的だ。製品によって先端の刃の厚みに違いがあり、刃の薄い方が細かな処理が可能。しかし、処理に慣れていないと刃が薄いものは、先端が爪と甘皮の間の奥まで入り込んでしまい、怪我をする恐れもある。
処理への慣れや手先の器用さに合わせて選ぶのがおすすめである。価格は材質や強度、構造などによって大きく幅があり、一般向けの製品で約600～3,000円、プロ向けの製品では5,000円～30,000円程度。
バッファー・シャイナーは、爪表面の凹凸を滑らかにし、ツヤを出すためのアイテム。爪表面の凹凸を滑らかにするバッファーとツヤ出しのシャイナーがセットになった製品が便利だ。
バッファーの研磨面は目が粗いものほど、大きな凹凸に対応可能。目の細かいものほど、微細な凹凸まで滑らかにできる。グリッド数と呼ばれる数値で研磨面の目の細かさが決まっており、220〜280が爪表面の凹凸を滑らかにするのに適している。バッファーもシャイナーも爪の表面に当てて左右に動かすようにして使用する。
価格は500～1,500円程度。素材によって比較的長く使用できるものと、短期間で交換が必要なものがある。交換の目安は使用頻度によって異なるが、研磨面が磨り減って、凹凸を滑らかにできなくなったり、磨いてもツヤが出なくなったりしたら交換する。
キューティクルリムーバーは、甘皮を柔らかくし、押し上げやすくするためのアイテム。甘皮部分に塗布して使用する。甘皮を浮き上がらせる作用をもつ、たんぱく質を分解する成分、甘皮を柔らかくする成分、保湿成分、美容成分などから構成されている。
価格はキューティクルリムーバーの容量や成分によって異なるが500～2,000円程度。
ネイルオイルは、甘皮処理後に爪の根元に塗布し、保湿するために使う。スポイトのように少量ずつ出すことが可能なもの、ペン先や筆のような形状の先端からオイルが供給されるもの、マニュキュアのように塗布できるものなど、さまざまなタイプがある。
自分にとって使いやすいタイプを選ぶのがおすすめだ。価格はオイルの容量や製品のタイプによって異なるが500～4,000円程度。
ハンドクリームは、手の保湿や肌荒れ防止を目的として、手先や手全体に塗布して使用するアイテム。ネイルケアはしていなくても、ハンドクリームは使用しているという人は多いのではないだろうか。
爪が割れたり、欠けたり、二枚爪になったりしやすい人は自宅で使用するだけでなく、外出先でも使用できるよう、持ち歩きに便利なサイズのハンドクリームを携帯しておくのがおすすめだ。
高保湿のものから、べたつきの少ないものまで多岐に渡るタイプがあるため、自分の肌に合ったものを選びたい。価格は容量や成分などによってさまざまで、安価なものでは400円程度、高価なものでは10,000円を超えるものまである。
自分でネイルケアするのに必要な道具が分かったところで、実際にどうやってネイルケアしていくのか、その方法について紹介する。/
爪やすり（ネイルファイル）を爪に当て、一方向に動かしながら長さや形を調整していく。力を入れすぎたり、往復させて動かしたりすると爪を痛めてしまう恐れがあるため、注意が必要だ。
バッファーで爪表面の凹凸を滑らかにしていく。グリッド数の異なる複数のバッファーがある場合は、目の粗いものから使用し、仕上げを細かいもので行う。
つやのある仕上がりにしたい場合は、シャイナーでさらに表面を磨く。爪の表面を削りすぎると爪が薄くなってしまい、割れやすくなるので磨き過ぎには注意したい。
甘皮の処理は見た目の美しさに影響するため、重要な工程だ。しかし、爪の中でもデリケートな部分であるため、慎重に行いたい。丁寧かつ適度な力で処理しなければ、怪我などトラブルの原因となってしまうためである。
キューティクルリムーバーを甘皮部分に塗布し、柔らかくする。キューティクルリムーバーを使用するのがベストだが、持っていない場合はハンドクリームで代用してもよい。
小さめのボールなどにぬるま湯を準備し、数分間指先をつけて甘皮をさらに柔らかくする。こうすることで、簡単に甘皮を押し上げられるようになる。
指先の水分を拭き取り、再度キューティクルリムーバーを甘皮に塗り、プッシャーで甘皮を優しく押し上げる。プッシャーを押し当てる際の角度は45度を目安とする。このとき、プッシャーを寝かせすぎたり、力を入れすぎたりすると爪の根元を痛めてしまうため注意が必要だ。
プッシャーで押し上げられた甘皮を、綿棒やコットンなどで優しく取り除く。除去できない甘皮は次の工程でカットするため、無理しないこと。
キューティクルニッパーでささくれや長い甘皮をカットする。こうすることで、手入れの行き届いた指先に仕上がる。
爪の根元を中心に、爪にネイルオイルを塗布する。その後、手全体にハンドクリームを塗って、指先を中心にマッサージする。しっかり保湿することで、ささくれや二枚爪などのトラブルを防止できる。
ネイルのセルフケアは思った以上に手間がかかることがお分かりいただけただろうか。自分でネイルケアする自信がない人は、ネイルサロンで施術してもらうのがおすすめだ。ここでは、メンズ向けのネイルサロンの選び方について紹介する。
年々、ネイルサロンの数は増えつつあるが、必ずしも男性OKのサロンであるとは限らない。ネイルサロンは女性専用の店舗も多いため、男性でも施術してもらえるかどうか確認してから行くようにしたい。
ネイルサロンは店舗によって、取り扱っているメニューはさまざま。希望するメニューを取り扱っているか、行く前に確認しよう。中には、ネイルケアはジェルネイルやマニュキュアなどとのセットメニューのみといったサロンも存在する。
ネイルケアは、定期的に行ってこそ効果が感じられるもの。よって、定期的に通わなければ、施術してもらう意味が半減してしまう。サロンの立地やスタッフの対応、雰囲気、予約のとりやすさなど、定期的に通っても苦にならないか、リラックスして施術が受けられるかをチェックしておきたい。
清潔感を身に着けるうえで忘れてはならないのは、女子側の意見だ。20代～30代のイマドキ女子に、男性のネイルケアについての率直な意見を訊いてみた。
あやかさん
（25歳）
爪が伸びていたり、爪の先が黒かったりしたら、身だしなみに気を遣わない人かなと思っちゃう。不潔だと感じてしまうし、マイナスの印象です。手の指先って意外と目立つので、清潔感は大事って思います。
ゆりさん
（23歳）
爪が短く切りそろえられていると、清潔感があって好感度もアップします。逆に、手先が汚れる仕事なら仕方ないですが、そうでないのに常に爪が伸びていたり、汚れていたりしたら生理的にちょっと無理かな。
刃物メーカー貝印株式会社の調査で、20代～40代の女性333人を対象に「男性の爪は気になるか」質問したところ、60％以上の女性が「気になる」と回答した。
とくに、「ビジネスシーン」「デートシーン」で男性の爪はチェックされており、年代別でそれぞれ注目するシチュエーションに違いが見られた。
20代の女性は「デートシーン」で男性の爪を気にしている人が多く、30代～40代では「ビジネスシーン」で気にしている人が多いという結果となった。
また、手の爪や、靴や襟などの細かな部分の清潔感も女性はしっかりチェックしているという別の調査結果もある。女性は意外と男性の細部を見ているもの。女性から好印象を持ってもらうには、爪や靴など、手を抜きがちなところほど気を配るべきだろう。
